「よし、ちゃんと捕まってろよ?」


「うん」


星川の返事を聞き、バイクを発進させる。


後ろから遼、面子、車組が着いてくる。


「神風くん!やっぱりバイクって最高だね!!」


「だろ!バイクを乗ってる時の景色、風がすごく心地いいんだよな!」


風の音で声が聞こえないため、2人揃って大声を出す。


周りから見たら異様な光景なんだろうな。


「本当に!…昔はこの景色がすごく好きだった」


〝昔〟?


ということは、今は違うってことか?


よくわからないが…。


「星川、学校じゃ大人しいふりをしてるだろ?」


「あ、バレた?…大人しい方が何かと楽だからね」


大人しい方が…か。


それはそれで正しいと思うが、今の星川を見てるとそうは思えないのが本音だ。


「俺は今の…素の星川の方がいいと思うけどな」


無邪気で笑顔もあり、何より楽しそうだ。


「そっか。…ありがとう」


それから星川は何も話さなくなり、ずっと景色を眺めていた。


きっと星川には誰にも言えない過去があるんだろう。


だからこそ、学校では大人しくしていようと考えたんだ。


それでもイジメられていたら意味がない。


星川はもう俺たちの姫だ。


何があろうと星川は俺が守る。


このバイクに誓う、2つ目の約束だ。