「はっ、やれるならやってみろ。…渡す気はねぇけどな」


「そうこないとな」


呑気に笑ってるが、本当に奪う気あるのか?


よくわかんねぇやつだな。


まっ、油断禁物には変わりねぇけど。


「んじゃ、俺は帰るわ」


「ああ。…もう悪さすんなよ!」


去っていく大堀にそう叫ぶと、大堀は振り返らずに手を振るだけ。


結局何をしに来たのかわからなかったが…。


大堀という男がどういう奴なのか少しわかった気がする。


わかったからと言って仲良くなれるわけねぇけど。


あいつがまた汚いことをしたら、今度こそぶっ潰すだけだ。


星川を奪い返すって言ってるからもうやらねぇだろうけど。


そうだ、星川は…っと。


あーまだ固まってる。


そんだけ驚いたのか?


その気持ちもわかるけども、そろそろ動かねぇと授業遅れんぞ?


「星川ー!」


…動かねぇし。


聞こえてないのか?


仕方ない、意識を戻しに行くか。