優斗が勢いよく、私を抱きしめた。


土手に自転車が転がって、

私たちも転がった。


温かい…


大きな手が私の髪を撫でた。


顔が上に向けられ、唇が重なった。



これだ。

優斗しか与えられないもの。


頭の先から、爪の先まで満たされる。


尖ってたものが、みんな丸くなる瞬間。


「茜、愛してる!」

「だろうねっ!」


ちっ

優斗の嫁やるって、そうとう大変なことだ。


「そ…そこは『愛してる』でしょ!?」

「愛なんてそんな…『わりと好き?』くらいだよ」

「穂積には言ったのに…」

「師匠は愛してるよ~。愛さずにいられないよ~」

「な…そうかぁ…そうだよなぁ…」