顔を手で覆った。


「ありがとう」

「いいえ…いいえ…いいえ!」


泣きながら、えいさんの膝に顔を落とした。




生きてて、良かった…と思った。



生まれてきて…


私は、『私』に生まれてきて良かった…と思った。


生まれてきて、

ずっと生きてきて、

本当に良かった。



どれか一つ欠けても

どれか一つ違っても

どこも欠けていなくても


今の私にはなれなかった。


私の方が「ありがとう」だ。