最終日。

寮母さん達が走り回っている。


「ごめんね!もう帰してあげないといけないんだけど…」

「あ、平気です」

「悪いけど、ちょっと入居者さん見てて!」

「分かりました」


夕食の前になって、エレベーターが故障した。

配膳が間に合わない。



廊下には食堂までいけない老人が、車椅子に座って一列に並んでいた。



「ああ…あああ…ああ…あああ」


「メシはまだかー!メシは、ま·だ·かーっ!」



シュール·レアリズム展…。

よく上野の美術館でやってるけど。



この人たちは、なんのために生きてるんだろう。



生きてきて、

病気や怪我をして、

歳を取って、

もう死ぬだけなら、

今は何のために生きてるんだろう。