こぼさなかった。


ぐっとピッチャーを支えて、台に置いた。



窓から外を見た。


冬晴れのなにも無い空を。


空っぽの…



「スフト表デキタヨ~」

「遅いんだから、まったく」


ねぇ?とカエデさんが振り返った。


「どうした?具合悪い!?」




ひっ…ひっ…ひっ…

ノドが鳴った。



ウロコが剥がれ落ちてく。

もう…泳げない…



「アカネ~ドシタノ?」



ようやく言った。


「トイレ…トイレ行ってきます」