お兄ちゃんは、近くにいたホテルスタッフを呼び止めた。


「すみません。写真、撮ってもらっていいですか?」


お兄ちゃんが私の肩を引き寄せた。

「ちょっ…ちょっと!」

「いーから、いーから。父さんと母さんに見せたい」


力、強いっ!


スタッフが、スマホを構えた。


「茜ちゃん、お誕生日おめでとう」

「ありがとう…」

数回フラッシュが光り、スマホが返された


「お兄ちゃん。その強引さがあれば、カノジョなんてすぐ出来るよ…」


お兄ちゃんが笑った。