後ろでパパが、話してる。

ケータイで…たぶん相手はママだ。

もうすぐ、話が終わる。


「できない…どうやっていいか分からないよ…」

「ゆっくり、ゆっくり吐く…私もいつもやってるよ。やってみて」


お兄ちゃんが来た。

穂積が目を開けた。

「それでも行かないで…」

「約束だよ。自分で自分を助けてあげて」

「また会える?」

「約束を守ったら、絶対会えるよ」

穂積が静かにうなずいた。