「お願い。約束して。

一番苦しい時、自分で自分を助けてあげて」

「ど…どうやって?」

「私のお爺ちゃんは、空襲に遭った時、とにかく何も考えないで走ったって。

自分の息が楽になる方向に走ったって」

穂積の目が落ち着いてきた。

「息が楽?」

「そう。

師匠も息が楽になる方に行って。

息をし続けて、楽になる方に自分を持って行って」