「うそだ!待って!」

穂積が叫んだ。


パパが言った。

「総史、荷物積んでくれ。俺、送ってくから」

お兄ちゃんがうなずいた。

「待って!待って!」

「穂積、一緒に荷物手伝え」

「やだ!なんで別れるなんて言うの!?」


私はパパの後を追った。


後ろから、冷たい声が聞こえてきた。


「茜は結局、俺のことなんて好きじゃなかったんだろ」



足が止まった。

心が凍りついた。



「俺が好きって言ったから、付き合っただけだろ」


「…そうだよ」


私はまた歩き出した。


「そんなワケないっ!」

穂積が追いかけてきた。