ニワトリの声に混じって、誰かの泣き声がする。


ベッドを出て、リビングに降りた。


八雲が顔を真っ赤にして泣きわめいていた。


「どーしたの?」

「カブトムシ、逃げちゃったんだって」

穂積が皿を並べながら言う。


「また取りに行けばいいだろ」

パパが言う。

「違うよお!あれは特別なんだからあ!もう赤ちゃん産むところだったんだよお!」

「最近はまた自然分娩が流行ってるんだ。好きな所で産ませてやれ」