土手に出た。

暑さで、蒸されたヨモギの匂いがする。


大島が、家から虫除けスプレーと傘を持ってきてくれた。

こんな時まで…気のきくヤツ…。


「セッシャと友は、予備校が一緒でござった。

学校の関係者は一人も来ておらず、

ご両親は『よく来てくれた』とそればかりで…

お坊さんも呼ばず、家族だけで見送るとのことでござった」


「何で死んだか…聞いたの?」


大島はうなずいた。

「お父上が『学校に殺されたようなものですよ』と…

それ以上は、セッシャも」