「時々、なっちまうんだよね。思うような演奏ができないと、自分に腹が立つみたい」

パパが言った。


穂積はベッドに寝かされて、今はママがついていた。


「ピアノのせいなの?」

「そうだろけど、止めさせられないし、本人も止められないんじゃないかな。

あの子は、ああやって生きて行くしかないんだよ。

一応、医者は前頭葉が発達してくると収まるんじゃないかって言ってるけど」


優斗は、ガツガツと夕飯を食べている。


パパがベビーベッドに目をやりながら

「見てて」

と言った。


優斗が無言でうなずく。