ピアノを聴かせてもらうために、二階へ上がった。

防音室なんてあるのね…。

だけど、穂積がドアを閉めないでというから、開けっ放しにしておいた。



穂積が鍵盤にふんわりと手を乗せる。

途端に、ピアノが全身で歌い始めた。


すごい…！


ピアノのことは分からないけど、間違えないとかリズムがどうとかのレベルじゃない。


こんな小さな子の出している音と思えない。

そもそも体に力が入っていない。


なのに一音一音ハッキリと

「コレしかない！」

という正確さ。


鍵盤の上を指が移動して、ピアノがそれに答えている。