目当ての本を探し当て、

「恩にきる…」

と女は帰って行った。


大島は何事もなかったように、スタンプ台の周りを整頓している。


「ねぇねぇ…すごいね」

「ハイな?」

「だって本詳しいしさ、そうやって掃除とか手ぇ抜かないじゃん」


大島は、一年の時からそうだった。