母さんが低い声で言った。


「ジイチャン。

家で死なれちゃ迷惑なんだよ。

死ぬなら病院で死んでちょうだい。

誰も止めないから」


ジイチャンが目をショボショボさせて、うなだれた。


「バアチャン。

何をさっきから騒いでんの。

早く入院の支度しなさいよ。

タオル。下着。寝間着。

早く用意して」


バアチャンは、ソロソロと奥の部屋に入って行った。