パパが戻ってきた。

「人が多くて、いい場所ない…」


「お父さん!!」


パパと呼ぶのも忘れて、詰め寄った。


「アタシ、アジが釣りたい!」

「あ、アジ?」

「アタシ
も友達に『今、勝浦でアジ釣ってる』って言いたい!」


隣の家族連れから、歓声が上がった。

何か大物が掛かったらしい。


「なにアレ!悔しい…!どうして私にはアジが釣れないの!?」

「あれはボラだよ。アジは早朝かもっと遅くならないと…」