メロディーは知ってる。

懐かしいような、遠くから呼んでいるような曲だった。

心が次第に落ち着いてきた。



「知ってる?」



うなずいた。


「でも名前は知らない」

「スカボロフェアだよ」


耳を澄ませて、最後まで聞いた。




「今、KU-ONが流行ってるの」

「人気あるね」

「嫌いじゃないんだけど…でも涙が出たことはない」



お兄ちゃんが驚いたように私を見た。

「涙出た?」

「出そうになった」



ホントは出たけど…