「もうすぐ迅さんが来るから早く帰りなよ」

「氷月は?」

「私は数日ここを離れるからね、挨拶に残る」


まだ何か言いた気な雪也に私は背を向けた

数秒そのまま留まっていた様だが
やがて雪也は明るい表通りに姿を消した


それを見届けるとそっと息を吐く


「ちゃんと話ししなよ…雪也」


私の小さなつぶやきは
誰の耳に届くでもなく静かに空に消えた