私は携帯電話で迅さんに
連中の回収の連絡をとる

電話を切れば雪也は声を掛けてきた


「なぁ、夜」


突然の呼びかけの変化に
私の体はピクリと反応する

雪也の目は真剣で私はまたため息をついた


「夜にとって親って何?」

「…俺にとって親は、…“飴細工”」

「飴…細工?」


雪也がポカンとした表情になる


「凛々しくて、堂々としてて、格好良くて、甘くて、でも核心に触れれば案外脆くて繊細。
親もまた、親である前に個人という人間だよ」


親の話をするときの雪也の瞳が
初めて揺れた気がした