「報われたと感じる瞬間なんて人それぞれでバラバラだ。
上司に褒められたときかもしれないし、家族と団欒な時間を過ごしているときかもしれないし、人に感謝されたときかもしれない」
「だったら、今アイツ等が報われてないって決めつけるのは高慢ってもんじゃねぇ?」
「そうかもね。でも何か問題ある?」
「…は?」
さっきまで挑戦的だった雪也の表情が
毒気を抜かれたようにポカンとする
私は一度息を吐いた
「だってそれはあんたも同じでしょ?」
「…ははっ、違いねぇ」
ザッと近くで足音がなる
神経を尖らせれば10人程度に
囲まれていることがわかった
明らかに敵意のこもった気配