「今日は静かだな…」


半分に欠けた月の下
ネオンの明るい道の裏に私は1人立っていた

明日地元に戻る前に氷月の仕事を
しておこうと思ったんだけどな…

ネオンの輝く表には、土曜にもかかわらず
出勤していたサラリーマンが
疲れたように歩いている


「彼らが少しでも報われる瞬間があれば良いな」


「なーに、1人で言ってんの?」


一人だと思っていたところに
不意に聞こえた声で私はハッと振り返る

薄暗い月明かりに照らされて現れたのは
ジーンズにパーカーとラフな姿の雪也だった

胸元にはメッキのチェーンが光っている


「………」