「最近、雪也はどうだい?」
「特に変わったことは無いですよ。と言っても、たまにしか会いませんが」
弦の答えに雪也のお父さんの表情は
少しだけ穏やかになった
そして、私に視線を向ける
「そちらの子は弦君のお友達かな?」
今度は弦じゃなく私が口を開いた
「はい。闇月夜と言います。雪也とも仲良くさせてもらっています」
「…そうでしたか。あのバカ息子がご迷惑をおかけしてないですか?」
雪也のお父さんは少し目を見開いた後
穏やかに笑った
それは優しい“父の顔”だ
「いえ、雪也にはいつも楽しませてもらっていますよ」
「そうですか」
雪也はきっと、この父の顔を知らない


