沈黙が流れる

周囲の時間だけが穏やかに過ぎている


「自分でも分かってる。俺の自己満足なのは…。雪也だって、望んでないのかもしれない。
…それでも、例え分かり合えなくてもお互いの気持ち知って欲しい。すれ違って勘違いして、勝手に自己完結しないで欲しい」


隣で弦が立ち上がった気配がして
私は顔を上げた

弦は私を見下ろしている


「自己満足でも良いんじゃね?俺が今ここにいるのも自己満足だし、所詮人間そんなもんだろ」


弦は空になった缶を近くのゴミ箱に投げた

空中で綺麗な弧を描いて
それはゴミ箱に入った

私が再び口を開こうとした時
オフィスの入り口を見ていた弦が声を上げた


「お、出てきた。行くぞ、闇月」

「あ、待って」


私は慌てて立ち上がり
弦同様に缶をゴミ箱に投げ入れて
弦の後を追った