「何であいつの為にここまでするんだ?」


弦が横目に私を見ているのを感じる

あいつとは雪也の事だろう


「うーん…、なんと言うか…、わかって欲しいんだよ。確かに世の中には本気で子供を嫌う人もいる。
でも、少なくとも雪也のお父さんはそんな人じゃないと思うんだ。弦の話を聞いて、雪也を見ている限りでは」


弦が少し驚いた風にこちらに顔を向けた


「お前、鋭いよな。周りの事、よく見てる」

「…そんなんじゃないよ。昔から人に敏感だっただけ」


私は俯く

手の中で軽くなった缶コーヒーの缶を
クルクルと弄んだ