“父の日”という言葉を聞いた瞬間 雪也の表情は曇った 「そっか」 それに遠慮なく口を開くのが弦だ 「お前は、叔父さんに何かしねぇの?」 弦は雪也の家庭状況を知りながら わざと突っ掛かる事を言う 雪也は参ったと言うように頭を掻いた 「俺は良いんだよ。親父はどうせ俺のことなんか眼中にないだろうし、そもそも俺から何かされて嬉しい事なんてねぇよ」 皆、口を噤んで話さない 弦は不服そうに口をへの字に曲げている 微妙な空気を通常運転に戻すのは 飄々とした雪也の口調だ