「夜だって人の事言えないだろー?」
「ん?そうかな?」
「そうだよっ!…でも、真面目な話で、俺たちは夜といられて嬉しいんだよ。夜をこの世界に繋ぎ止めてくれた夜の両親に感謝だな〜」
私の笑いは止んでいた
代わりに裕が優しく笑う
バイクにキーを差し込んでエンジンをかける
後ろ姿を私はボーッと眺めた
「そう言えば、もうすぐ母の日だけど、夜は何かするの?」
裕にメットを投げられる
母の日…?
そう言えば、そんな日があるんだっけ?
私は今まで何もした事がない
「夜?行くよ?乗って」
裕が準備万端という風に私を見る
私は頷くと身軽に裕の背後に乗った
もう、2年前の様に
乗れないなんてことはない
母の日か…
確か感謝の気持ちを伝える日
今年は地元に帰省するのも悪くない…
かな、と密かに私は裕の背中に
掴まりながら考えた