「夜ってさ、出会った頃と比べるとかなり素直になったよね」


クスクスと笑う裕に嫌な気はしない

寧ろ、親しみを感じる声の温度に
私は笑いながら口を開く


「まぁね。あの頃はかなり尖ってたし、“俺”自身が“私”の事を何一つ分かってなくて不安定だったから。
今はだいぶ落ち着いたよ。皆が居るからね」


話していれば、すっかり見慣れた
バイクが視界に入った


「俺たちは俺たちでさ感謝してるんだよ?」

「え?」


一瞬だけ裕と視線がぶつかった


「この街に来て、俺たちに出会ってくれたこと。何より、生きててくれたことに」

「なんだよそれ。よくそんな恥ずいこと真顔で言えるな」


私は喉の奥で笑った

裕が拗ねたように口をすぼめる

裕のこの表情もだいぶ見慣れた