「どうした!?」
慌てた様に私の背中をさすってくれる
父さんが何か口を開こうとした時
また、鮎の声が紡がれる
「最後になったけど、いつもありがとう。
母さんの娘で良かった。
これからもずっと、私の母さんでいてください。
それから、父さんにお酒は程々にする様にと伝えて下さい。
それではまた、近いうちに…」
父さんが驚いた様に
ボイスレコーダーを眺める
「これ…」
「鮎からっ、鮎が母の日に送ってくれたのよ」
カチっと録音が切れた
父さんがフッと柔らかく微笑む
「良かったな」
「えぇ」
私は涙に濡れた顔のまま
父さんと笑いあった


