“thank you for my mother”
箱の上に一枚のカード
懐かしい字で一言だけそう書かれていた
鮎っ!!
更に箱を開ければ…
「ボイスレコーダー…?」
私はゆっくりとそれに手を伸ばす
そして、再生のボタンを押した
「母さん。私は、親泣かせの親不幸者で、何一つ恩返しも出来なくて…。
それでも、母さんは沢山の愛情を惜しみ無くくれて…。
私は母さんに本当に救われた」
少しの雑音の後、電話で聞き慣れた
鮎の声が流れ出した
でも、その声はいつもより数段
優しくて心に染みる
「母さんが私の母さんじゃ無かったら、今の私は居ないと思う。
いつも私達のために気丈に振る舞って、泣き言一つ言わずに、生きる意味を見つけられなかった私に生きるということがどういう事か教えてくれた。
辛かったのは私だけじゃなかったよね。
気が付けなくてごめんなさい。
母さんはいつも私のやる事に口出ししなかった。
私のこと、信じてくれてたんだよね。
ありがとう。嬉しかった」
私の中に熱いものが込み上げる


