何を言われるのかと思えば…

溜め息を一つこぼす


「さっき、俺だけが悪いわけじゃないって言ってくれたのは親父じゃんか。言われるまでもなく、俺は藤谷家の人間だよ」


久しぶりに…いや、初めてか?

親父と顔を見合わせて笑った


“親もまた個人という人間”


確かにそうだな、夜


1番近しい人だから
ついつい忘れがちになるけど

【1番近しいからこそ
1番気を使わなくてはいけない】

当たり前だと思った瞬間から
必ず何処からか歯車が噛み合わなくなっていく


俺の心は何年も抱え込んでいた
靄が晴れてスッキリしていた


「親父、この後も仕事?」

「あぁ、また会社に戻らないと」