やっぱり一緒に食べるんじゃなかった
弁当の中身がほとんどからになった頃
昼食を始めてから初めて親父が口を開いた
「雪也」
俺は返事をする代わりに顔を上げた
親父は既に食べ終わっている
「雪也は私が嫌いか?」
「は?」
予想外の質問に俺の口から思わず声が漏れた
そんな俺に親父は本当に僅かだが
困ったように笑った
「…別に」
明後日の方向を見ながら言えば
そうかと言いながら親父は息を吐いた
そんな姿に俺の頭の隅を昨夜の夜言葉が掠める
“俺にとって親は飴細工”
“親もまた、親である前に個人という人間”


