「私はちゃんと報われたよ。たった今、雪也の言葉に」


電話の向こうの見えない相手に
わたしはニッコリ笑いかけた

雪也が一瞬息をのむ


「そうか…」

「うん」


ふっと雪也の声が柔らかくなった


店の窓から店内に視線を向けると
父さんと母さんは既に席に着いていた

私が見ている事に気付いた母さんが
私に手を振っている

その横では父さんが笑っていた


「それじゃあ、切るよ」

「あぁ、大事な家族との時間に水差して悪かった」

「気にするな。また、帰ったら話聞かせてよ?」

「分かってる」