雪也が感謝の言葉を口にしたことに
私は驚いた

私が固まっていると
何か言えよと拗ねたように雪也は言った

恐らく照れ隠しだろう


でも、良かった…

まだ、ぎこちなさは残っている
のかもしれないけど雪也がちゃんと
お父さんと話せて

私は優しい顔で笑っていた
雪也のお父さんの顔を思い出す


「雪也」

「ん?」

「雪也は私に聞いたね“氷月は、ちゃんと報われたと思える瞬間があるのか?”って」

「え…?あぁ」


私は頬の筋肉を少し緩めた

雪也が僅かに困惑しているのが分かる