「で?なんでドタキャン?」

怒鳴るのが面倒くさくなったのか、やっと理由を聞こうとする愛莉。
本当に気分屋……。

「…………家庭教師。」

「「…………………………え」」
見事に重なった2人の声。

そりゃまぁ、この反応になるだろうよ。
本人の私でさえ朝にそうなったんだから。

「……………ぷっ」

吹き出す先生。
愛莉は隣でお腹を押さえながら笑ってる。

………酷くね?
先生は顔を赤くしながら声を押さえて笑ってるし。
愛莉は涙流しながら笑ってる。


「……そんなにおかしい?」

「そりゃ…wwwwだってあんたwwwwww」

「志帆が家庭教師なんてな。」
隣で笑が収まらない愛莉は放っておいて、落ち着いた先生に訳を聞いてもらおうと先生のほうに視線を向けた。

「私も今日聞かされたんだよ?お母さんに。」

「成る程、それでドタキャンか。だってよー、愛莉。」

「……ん。許す許す。」
涙を拭きながら踏ん反り返って私を見る愛莉。
「大いに学んできなさい!!」
ビシッと効果音が出そうな勢いで私を指差した愛莉の口元はまだヒクヒクとニヤついていた。


「………ははは。」

笑うしかなかったよ。