「次の問題。リンゴはどれ?」


俺は机の上に、リンゴとさくらんぼとトマトとパプリカが描いてある絵を置いた。

これも、わからないかと思っていた。

綾羽は、さくらんぼの絵を指さした。


「・・・・・・綾羽、もういい。手はなして。」


すると、藤樹が俺に小さい声で話しかけてきた。


「・・・・・・おい、流也。一之瀬マジでやばいじゃん。このまま検査なんか続けても無駄だと思うぞ。」

「・・・・・・。」

「幼稚園レベルの質問もわからなくなってるし。もう、俺らの記憶もないんじゃねぇの?」

「・・・・・・。」


綾羽は俺のことを忘れているのか?


「綾羽、俺の名前わかるか?」

「え?・・・・・・高橋流也。」