雨がどんどん強くなってきた。

風もさっきより強く吹いてきた。

こんな、台風に近い天気のなか、綾羽はどこにいるんだよ・・・・・・!


「ハア・・・・・・ハア・・・・・・・・。」


足が痛い。

さっき、アスファルトを叩いた拳がまだ痛い。

雨で濡れているから、ヒリヒリして余計に痛い・・・・・・。


綾羽のお母さんと約束したんだ。

綾羽を必ず連れて帰るって・・・・・・。


もう一度走り出そうとしたとき、後ろからパトカーが走ってきた。


「うわっ!!!」


びっくりしてパトカーを避けたら、パトカーは俺の隣に止まった。

一人の警官が、窓から顔を出して、俺に話しかけてきた。


「ちょっと君、高校生?!こんな雨のなかうろついていちゃダメだろう?!」

「す、すいません・・・・・・。」

「こんなにずぶ濡れになって、何をしているんだ?!」

「一人の女子高生が行方不明になって、探していたところです。」

「一人の女子高生?!私たちも今、さっき警察に連絡がきて、女子高生を探しているところだ!」

「え?!」


嘘だろ・・・・・・。

もしかして、綾羽のお母さんが警察に連絡したのか?!


「あの、その探している女子高生の名前は何ですか?」

「一之瀬綾羽。」