そうして雪音は教室から出て行ってしまい。 ピンを渡すタイミングを逃してしまった。 これは明日にならないと無理だな。 そう思っていると、優里枝がじっと雪音が出て行ったドアを見つめながら言った。 「…理人を下の名前で呼ぶ子は特別なんじゃなかったっけ?」 「……ああ。特別仲がいい人にしか呼ばせてない」 ああ、そうか。 優里枝は、雪音が俺のことを“理人”って呼んだから驚いた顔をしたのか。 「理人、今彼女いないんだよね?」 「いないけど……」