彼の名前は桜井優太。


名前の通りすごく優しい、わたしの大好きな人。



優太は心臓に病気を抱えていて、去年…わたしが中学に入学した年から入院している。



でも優太は決して弱音は吐かない。


ずっと生きることに希望を持ち続けている。



「ねえ優太ー、優太は好きな女の子とかいないの?」



ベッド脇にあるパイプいすに座りながらそう尋ねる。
すると優太は笑った。



「好きな女の子とか言われても困るよ。俺が接してる女の人って言ったら雪音とか看護婦さんだけなんだけど。母さんなんかは論外でしょ?」