ベッドの上で、ぼんやり彼女の事を思い出しているおれのもとに、母さんが怪訝そうな表情を浮かべてやって来た。



「栄二、出張中のお父さんから珍しくあなたに電話よ。」


「…俺に?なんの用だろ」

「そんな事、知らないわよ、お父さんに聞きなさい」

子機を受け取るとすぐに、父さんの声が電話越しに聞こえてきた。



「栄二、何をやっていた?」

「…別になにも?」

「お父さんも今月一杯でこっちの仕事が終わって家に帰れるんだ。」

「よかったね」

「それで一つお前に提案なんだが…」


そう言ったお父さんは次の瞬間、俺にとんでもない提案をしてきた。



「お前、ちょっとこっちでお父さんの仕事を手伝ってくれないか?」


「…………はっ⁉」