電車から降りて、タクシーに乗り換えると10分ほどで到着する。


電話で事前に知らせておいたから

祖母ちゃんは、玄関前にある小さな畑をいじりながら俺を待っていてくれた。


「栄二、よく来たね。

お前が一人でこの、家に来るなんて初めてじゃないかい?」

畑に実ったほうれん草を摘みながら祖母ちゃんが笑う。


「たまにはね。」


「ささ、中に入ってなさい。

ばーちゃんは野菜を収穫してから行くから。」

「…手伝うよ。」

俺の言葉に少し目を見開いて、また笑う。


「珍しいことがあるもんだねぇ…


幼い頃から虫が苦手で土いじりさえしなかったのに」



虫は今も苦手だ。

でも、夢の中で清人がやっているのを見て、一度この手で直に実っている野菜に触れてみたいと思っていた。


そうすれば、少しは清人の気持ちを知れるのかなと…。