「待ちなさい」

「あ、あの…!?」

「毛布は置いていこうね。それ、俺のだから」

「あ…」


毛布に包まったまま廊下へ出ようとしていた。


「落ち着いて。もう薬は抜けただろうから、何もしないよ」

「は、はい…」

「身体は平気?」

「なんとか…」


綺麗に毛布を畳んで静理に返す。

彼はいつもの爽やかな笑顔でそれを受け取った。

そして――。


「ここも…」

「っ!?」

突然、太ももを撫でられた。

そこはあの時、静理に吸血された――。

「大丈夫そうかな?」

「は…はい…」

わざとらしく尋ねてくる静理に、頬が赤くなる。

「なら良かった」


クスクス笑う彼に見送られ、小鳥は部屋へ戻った。