それから静理と別れ、一人でバスルームの中を確認した。

「うわ~!広い!」


温泉旅館なみに広々とした空間。

バスタブにはお湯が張ってあり、色とりどりの薔薇の花びらが浮かんでいる。


(今入っちゃおうかな)


とは思ったものの、入るためには荷物を解く必要がある。

「やっぱり、いったん部屋に戻らなきゃ」

バスルームを出て廊下を歩く。

教えてもらった部屋の位置を確認しながら進んでいると…。



「見つけた――」


音楽室を通り過ぎたところで、背後から声がした。


(この、絡みつくような声は…!)


小鳥は顔面蒼白になりながら、ゆっくりと振り返った。


「僕の部屋へおいでって言ったよね」


ニヤリと笑う彼。


(は、くま…さん!)


白い吸血鬼に捕まった。