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白魔の部屋に戻った小鳥は崩れるように椅子に身を預けた。
「白魔さん、私……ルカくんにヒドイこと、言ってしまったんでしょうか…?」
ぼんやりする頭を抱えて必死に考える。
「私……ルカくんと約束を…したような…」
――俺に、しない…?俺を見てよ、小鳥
うっすらと蘇る記憶。
何かを思い出しかけた時、耳元で白魔が囁いた。
「ルカの妄言なんて気にすることないさ。君は僕だけのプリマドンナなんだから」
頬に優しいキスを落とされ、小鳥の思考能力が低下する。
「小鳥……好きだよ」
それからドロドロの甘い蜜を与えるように白魔は小鳥と唇を重ねた。
――小鳥……好きだ
不意に響いたのは、ルカの声。
――初めて会った時から…あの雪の日から…ずっと…
――小鳥は独りじゃないよ
――俺がいるから
(ルカ、くん……!)
薔薇の香りに溺れそうになっていた瞳が真実を見つけた。
――あの、なら迷惑でなければ明日……ルカくんを選んでもいいですか?
――もちろん!
(そうだ…私……ルカくんと約束したんだ…!)