全員の視線が小鳥に向く。

緊張でドキドキしつつ小鳥はジェラルドに根本的な質問をした。

「あ、あの…ボディーガードはありがたいんですが、どうしてフィアンセとセットなんですか…?」

「それはね、小鳥ちゃんが地下世界で暮らすのに必要だからさ。君は私の娘になったわけだけれど、いつでも私が傍にいて守ってあげられるわけじゃない。実際、明日にはフランスに戻る予定だしね。だから君の安全を確固たるものにしておきたいんだよ」

真面目な顔を見せるジェラルドは小鳥を真っ直ぐ見つめて続けた。

「ハッキリ言って人間が庇護者も無しに地下世界を生き抜くのは難しいんだ。ずっと屋敷の中にいるならいいが、外に出たりだってするだろう?品性のない闇人に襲われそうになった時のことを考えると、誰かの所有物であった方が都合がいい」

「所有物って…父さん!」

「ああ、怒らないでくれルカ。私の言い方がまずかったね。要するに、小鳥ちゃんはクラヴィエ家の人間だから手出しは無用とわからせることが大事なんだよ」

説明を聞いた白魔が納得した様子で口角を上げる。

「ふーん。誰かのフィアンセだと公言しとけば小鳥は安全ってわけか」

「そう!こんなに可愛いマドモアゼルなんだ。フリーだと知られたらまた誘拐されてしまうよ」

「ハッ、大袈裟」

嘲笑うオーレリアンに苦笑しつつジェラルドは小鳥に問い掛ける。

「で、小鳥ちゃん。君は誰がいいんだい?」