EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ



――ヒュンッ


空気を切り裂く音がした。

「ヤバイ!避けて!!」

アルトが叫んだのとほぼ同時にいくつもの短剣が扉の中から飛んできた。

中は真っ暗闇で、短剣を誰かが投げているのか自動の仕掛けがあるのかすらハッキリしない。

「カロン!!ドア閉めろ!!」

連続で飛んでくる刃を避けながらオーレリアンが兄に命じる。

扉に一番近かったカロンは素直に言うことを聞いた。

「よっと…!!」

足で扉を蹴りつけ、勢いよく閉める。

閉まったと同時に凶器の嵐はおさまった。


「カロン!お前マジふざけるなよ!行動を慎め!」

プンプン怒る末っ子。

ご機嫌をとるためにカロンはオーレリアンの頭を撫でてやった。

「ああー…俺が悪かった。怒るなって。ハゲるぞ?」

「撫でるな!もっと反省しろよ!」

兄弟が話している間に床が回転し、扉が横にスライドする。

ゆっくりと現れた扉は男女が描かれた「恋人」の正位置だった。

「げっ、なにこれ。タロットカードの恋人ってキスしてたっけ?しかもこの女、半裸じゃん。胸まる見えなんだけど」

オーレリアンが顔を引きつらせる隣でカロンがヒュッと口笛を吹く。

「なーんか、妙にエロティック。そそる」