女子トイレにてホォと溜息。
気分はだいぶマシになった。
水道の水で手を冷やしながら、目の前の鏡を何気なく覗き込む。
その時――。
「ああ…これからカロン様のライブがあるというのに…!どうして好きでもない実力派の鬼畜参謀と私服デートしなくてはならないんですの!?どうせならカロン様とデートしたいですわ!」
隣からそんな愚痴が聞こえてきた。
(この声、もしかして…)
昨日会った女性軍人ではなかろうか。
チラリと横を見れば、腰まである長い白髪が視界に入った。
(あ、やっぱり)
「ミッつんの、お姉さん」
小さく声に出したら美女軍人が小鳥の方を見た。
「あら、あなた櫻井小鳥ではなくて?」
「は、はい」
「蜜莉のこと知っていらっしゃるのね。ミッつんと呼んでいるなら、相当仲が良ろしいのかしら」
ふわりと微笑む蜜莉の姉。
悪意のないその笑顔は蜜莉とよく似ていた。
「今日はお一人?この辺りは最近物騒ですから、単独行動は良ろしくありませんわよ」
「あ、いえ。一人じゃないです。お姉さんこそ、お一人で任務ですか?」



