†††


 赤い夢にうなされ、小鳥はビクンと背中をのけ反らせた。


「小鳥ちゃん?大丈夫かい?」


(だ、れ…?)


聞き慣れない男性の声。

ボンヤリと瞼を開けると、爽やかな笑顔が特徴的な茶髪の青年が傍にいた。


(この人は…)


名前を思い出そうとしたら、血生臭い記憶がフラッシュバックした。


「………っ!」


(吸血鬼っ…!!)


彼らの恐ろしい食事風景が脳裏に甦る。

恐怖でひきつった表情をする少女に、静理は穏やかな口調で語りかけた。


「落ち着いて。俺は何もしないから」


「し、ずり…さん?」

「そうだよ。さっきはごめんね。やっぱり、いきなりあんな光景を見せるのは良くなかったかな」

優しげな静理の声を聞いてるうちに平常心を取り戻した小鳥。

彼女はゆっくりと周りを見回した。