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 闇を象徴するかのような黒き軍服。

その詰め襟には逆五芒星が刻まれている。


「遅れて申し訳ございません。皆を代表して俺が謝罪致します」

そう言って主催者のジェラルドに頭を下げたのは、先頭を歩いていた黒髪の青年だった。

彼の軍服の襟元や袖口には紫のラインが引かれ、詰め襟にある逆五芒星も紫で統一されている。


「いやいや氷河(ひょうが)くん、謝罪は無用だよ。私は細かいことは気にしない性分だからね」

仮面越しにニコリと笑うジェラルド。

「ありがとうございます」

「それより仮面はどうしたのかな?マスカレードだと招待状に書いておいただろう?」

氷河という青年も、彼の後ろに控えている青年達も皆、素顔を曝している。

「我々は軍人ですから。パーティーの席でも気を緩めないよう常に心掛けています。どうか、ご了承下さい」

「ふむ、相変わらずお固いな。まあいい。楽しんでいきなさい」

しぶしぶ納得してから、ジェラルドはクルリと小鳥の方を向いた。