ルカと小鳥が一緒に顔を向けると、そこには水色の仮面を手に持つ蜜莉が。

「ミッつん!来てたのかよ」

「うん。来るっきゃないでしょ。ジェラルドさんに呼ばれたらさ」

言ってから蜜莉は小鳥を見つめてふんわりと微笑んだ。

「可愛いね。ドレス、よく似合ってるよ」

「あ、ありがとう…!」

照れる小鳥と蜜莉の笑顔をムスッとした顔で眺めるルカ。

そんな時、血を飲みに行っていたカロンがこちらへ戻って来た。

「よおー、蜜莉」

「カロン…?デッカイ君が猫の仮面つけてもヒョウにしか見えないね」

「やっぱし?でも気に入ってるから外さない」

シルバーの猫マスクをつけたままカロンは小鳥と蜜莉を視界に入れる。

「てかさ蜜莉、気づいたか?」

カロンが問えば、蜜莉は静かに頷いた。

「……うん。このパーティーのことでしょ?」

「へー…やっぱそうなんだ」

何の話をしているのだろう。

ルカと小鳥が首を傾げる横で二人の会話は続く。

「招待状には小鳥の歓迎会とか書いてあったけど、たぶん支配主義者に対する牽制…というか警告じゃないかな。僕の姉弟(きょうだい)にも届いたらしいし」

「だよなー。親父が軍学校宛てに招待状書いてるの見たわ」

とその時、玄関ホールの方からカツカツと複数の靴音が聞こえてきた。


「おー。噂をすれば、おいでなすった」

カロンが皮肉げに口角を上げる。


(誰が来たの?)


気になった小鳥がドアの方に目をやると、そこには黒い軍服を纏った青年達の姿があった。